ゲーム会社は人気業界であるため、多くの方が就職を目指しています。
あなたが学生なら、自分の学歴でゲーム会社を目指すことはできるのでしょうか?
開発現場で18年のキャリアがある私(@マローン)が、ゲーム会社での学歴の必要性について解説します。
この記事では、ゲームクリエイター(デザイナー・プランナー・プログラマー等)などの “非開発職者” 向けに紹介しますが、総合職・一般職者についても簡単に触れています。
はじめに。
ゲーム会社は自由な働き方ができるイメージがありますが、事実、フレックス制を採用している会社が多いので、一般企業に比べたら日々追われるような労働形態ではありません。
- 朝の出勤が遅い
- 残業の有無は会社による
中小のゲーム制作会社ではそうとは限りませんが、ほとんどの大手ゲーム会社はこれに当てはまります。
有名ゲームタイトルに関われる、いつか自分のゲームを作れる、など夢を持って働けるのもゲーム会社の魅力です。
こうした理由から、ゲーム会社は就職倍率がとても高い業界としても知られています。
では、就職倍率が高い=高学歴が必須?ということでしょうか。
ゲームクリエイターに学歴は必要?
結論から言うとゲームクリエイターに学歴は必要ありません。
特にプログラマーやデザイナーなどの開発職では、ほぼ学歴は求められないと言ってよいでしょう。
ただし、新卒に関しては大きく異なるので一覧にまとめてみました。
大手ゲーム会社 | 中小 ゲーム制作会社 | |||
総合職 | 開発職 | 総合職 | 開発職 | |
大学卒以上 | ◯ | △ | ◯ | △ |
専門卒以上 | △ | ◯ | △ | ◯ |
高校卒 | ✕ | △ | ✕ | △ |
◯・・求められる/△・・どちらでもない/✕・・求められない
つまり、ゲーム会社の開発職は専門卒以上を求められるケースがほとんどで、高卒で入社する人材はほとんどいません。(私が知る限り、高卒入社は数名しか見たことありません。)
また、大手ゲーム会社の“新卒”に関しては大学卒が8~9割を占めているのも実態です。
専門卒で大手ゲーム会社に入る場合は、正社員以外の雇用形態で入社するケースが多いですね。
ゲーム開発現場での学歴について
- 中卒、高卒は少ない
- 大卒、専門卒がそれぞれ半数を占める
大学卒と専門卒の違い
そもそも大学と専門学校では学ぶカリキュラムが異なります。
大学
- 現場レベルでの技術は学べない
- ゲーム会社への就職サポートはない
- 論理的思考力や一般教養を学べる
- 将来的に管理職に就きやすい
専門学校
- 現場で使うソフトウェアで技術・スキルを学べる
- ゲーム会社と強いコネクションがある学校もある
- 新卒でも即戦力として活躍できる可能性がある
こうしてみると専門学校を卒業したほうが有利と思いがちですが、実際に大手ゲーム会社で出世しているクリエーターは高学歴が多いという一面もあります。
出世というのは課長クラスではなく、部長以上役員クラスの人を指します。
半分以上は高学歴の大卒者を占めていますね。

また、大学には一般大学から美大、工学大など様々ありますが、開発部の新卒デザイナーは美大出身者が多いですし、大卒で新卒入社できればその後のキャリアアップでも有利になります。
ただ、“就職する” ということをメインに考えるなら専門学校のほうが有利ですね。
正社員として入社できるかは保証できませんが、専門学校ではインターンを経験できたり、就職の斡旋を受けることもできますし、卒業制作展などでは企業が直接見に来てくれる、などのメリットが多々あります。

高卒については相当な実力がない限り、ゲーム会社へ就職するのは不可能に近いと言ってよいでしょう。
大卒、専門卒以上がゲーム会社の条件となることを覚えておいてください。
▼ゲーム業界に関するカリキュラムが学べる専門学校一覧はコチラ
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大手ゲーム会社への就職
大手ゲーム会社の定義は難しいところですが、数百人規模のゲームメーカーである会社を指します。(ゲーム制作会社ではなく、製造・販売までも行うメーカーであること)
ゲーム業界は就職倍率が非常に高い業界のひとつですし、最低でも30倍、50倍、100倍といった倍率を超えなければならない激戦区です。
ですので、大手ゲーム会社に入社するために学歴は無視できません。
特に新卒の場合は学歴が必要ですし、同じような人材が競合すれば学歴が比較されるのは当たり前ですよね。
開発職なら、学歴よりも自身のポートフォリオや学生時代に残した実績が重視されるのは当然ですが、その後のキャリアを築く上での人物像が最も重視されると言ってよいでしょう。
中小ゲーム制作会社への就職
中小企業は即戦力重視のため、大手よりも学歴はほぼ問われないと言っても過言ではありません。
中小のゲーム会社は、そのほとんどがゲームの販売をしていない“制作会社”です。
つまり、大手から受注した制作業務を行うのが仕事になるため、すでにゲームクリエイターとして使える戦力性が求められます。
そのため、すでにソフトウェア・ツールを扱うことができる専門卒生が就職するケースが多いですね。
企業が求めるのは、学歴よりも即戦力として使えるかどうかが重要なポイントです。
それを判断するのが、ポートフォリオです。
- 卒業制作作品
- 開発したアプリ
- その他実績等
これを基準に、どれだけ仕事ができそうかが重要になってきます。
こうした中小企業でしっかりと経験を積み、大手ゲーム会社へ転職するのが王道のパターンですね。
専門学校卒業はどう評価される?
学歴という面では、専門学校卒<大学卒となっているのが通常ですが、実際の開発現場では専門卒はどのように評価されているかご存知でしょうか。
答えはこう。

これ本当です。
一般的な大手企業であれば、どの大学を卒業しているのかお互いに把握していることが多いですが、ゲームクリエーターは学歴を気にしない人種がほとんどです。
稀に私の元上司のように東京大学出身ともなれば目立ってしまいますが、そうでない限りは誰も気にしていないと断言できます。
ゲーム開発現場は実力主義の世界です。
実力があればどの学校を出てようが関係ありません。
高学歴がなくても大手ゲーム会社で働く方法
ゲームクリエイターでも総合職も、大手ゲーム会社へ入社するのは簡単ではありません。
それでも多くの方が大手の有名タイトルに関わりたいでしょうし、大手ならではの待遇で仕事をしたいと思っているハズです。
もしもあなたの学歴が乏しいのであれば、会社のネームバリューにとらわれず、まずは中小企業でもゲーム会社で働いてみて経験を積むことが大切です。
その後、中途採用で転職するのが大手ゲーム会社への道となります。
中途採用ならいくらでもチャンスがあります。
また、中小企業ならプロジェクト規模が少人数のため、早い段階で実績とキャリアを積むことが可能です。
学歴はやり直すことができませんが、キャリアならこれからいくらでも積むことができます。
志望する会社に入れなくとも、その後に何度もチャンスが来ると思って大丈夫です。
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資格アリは就職に有利?
ゲーム会社の就職で、資格の有無は重要視されません。
資格のために勉強するなら、ポートフォリオ作品のクオリティアップや、実務で使えそうなソフトウェア技術を学んでいるアピールをするほうが効果があります。
▼詳しくはこちらの記事で紹介
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入社したら学歴は関係ない:「技術」から「管理能力」へ
新人時代は技術力重視
ゲームクリエイターが入社してから求められるのは、一定レベルの技術力とです。
基本的なソフトウェアの操作から、単純な仕事でも指示したことをしっかりとこなせる対応力が重要です。
配属しているプロジェクトの作業員として、チームの作業ペースを乱すことなく、一定品質のクオリティと成果を上げれば上長(主にセクションリーダー)から認められるでしょう。
新人でも問題なく1人月(※)としてカウントできる信頼度を得ることがスタートになります。
(※)1人が1か月で行うことのできる作業量(工数)を表す単位
入社1年目ならまだしも、2年目になっても1人月としてカウントできない実力であれば、近い将来の出世はかなり厳しくなります。
遅咲きのクリエーターがいるのも事実ですが、次々と出世していく人材は2年目から違いが見えてきます。
30代ミドルクラスは管理能力重視
30代、つまり業界経験も10年近くなると、作業的な仕事はできて当たり前です。
すでに多くの部下を持っている人なら分かると思いますが、この頃に仕事の仕方が大きく変わってきます。
自分が作業することから、人が作業するのを管理するように。
30代後半〜40代前半にかけて、まだ一度も部下を抱えたことがないという社員なら、その後のキャリアはかなり厳しいと思います。

ゲーム会社というと、ゲームのヒットによっては一発逆転の出世がありそうな雰囲気がしますが、実際にそのようなケースは0.01%くらい稀な話です。
20代から着実に仕事をこなし、積極的に人を管理できるようになれば将来的なキャリアを築くことができるでしょう。
ゲームクリエーターに求められるのは結局「人間力」であり学歴ではない
ゲームクリエイターは、一般総合職とは違い技術職の世界です。
共同作業の中で、いかに人を管理して期間内に作業を完了させる能力が問われます。

1年もゲーム開発現場に居れば、学歴の関係なさに痛感すると思います。
一定レベルの技術力を経験し、現場を動かせる力さえあれば、どんな大学だろうが専門学校だろうか関係ないと感じるでしょう。
大事なのは以下のような能力です。
- 人前で話す能力
- 人に分かりやすく簡潔に説明する能力
- 人を管理する能力
- トラブルを解決する能力
これらは、プランナー、プログラマー、デザイナーを問わずに共通に言えることです。
繰り返しますが、学歴ではなく、こうした人間としての能力がとても重要になります。
まとめ
ということで、ゲームクリエーターに学歴は求められないというお話を紹介しましたが、これからゲーム業界を目指す方にとって参考になりましたでしょうか。
学歴に関すること、学歴がなくても大手ゲーム会社を目指す方法など、様々な点について触れてきました。
ゲーム会社はチャレンジ精神の強い人材を好みます。
高学歴じゃないからと言って諦めずに、前に向かって進んでみてください。