これからゲーム会社を目指す方や、転職を考えている方に知ってもらいたいゲーム業界の離職率の話です。
世間一般的には、離職率が低ければ良い会社、離職率が高ければ悪い会社と認識されているので、気になるゲーム会社の離職率は気になるところです。
ゲーム業界は他の業界に比べて転職者が多いことで知られています。つまり離職率も高いというわけですね。
この記事ではゲーム業界の離職率について紹介します。
これからゲーム業界への就職・転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
離職率の意味を理解しておこう
離職率とは「ある時点で企業に在籍していた従業員のうち、一定期間後に退職した人の割合のこと」です。
離職率の計算方法
離職率 = 離職人数 ÷ 従業員数 × 100
計算方法は法的に定められていないため、「期間」「従業員」の数を任意に設定できます。
そのため「3年目までの新卒離職率 」や「全従業員の離職率」など自由に算出することが可能です。
ゲーム会社の離職率を出す上で重要なのが、正規雇用の従業員で算出しているということです。
ゲーム会社では一般企業と同じく、様々な雇用形態があります。
- 役員
- 正社員
- 契約社員
- アルバイト
- 業務委託契約
- 派遣社員
このうち、正規雇用となるのは「2.正社員」のみです。
代表取締役、役員を含めたその他の雇用形態はすべて非正規雇用になります。
とりわけゲーム会社の開発職は、正社員以外の非正規雇用スタッフが多い業界です。
例えば、A社、B社それぞれのプロジェクトで100人の開発スタッフいたとします。
- 正社員70人+非正規雇用30人
- 正社員20人+非正規雇用80人
このうち、もし非正規雇用がプロジェクト終了後にすべて解雇となっても、正社員が1人も辞めなければ離職率は0%です。
実際、大手ゲームメーカー開発現場には、契約社員やアルバイトは多数いるため、離職率がそのまま参考値になるかどうかと言えば疑問です。
ゲーム業界の離職率は高い?
参考:洋経済新報社 就職四季報 2021年版
日本国内の一般企業の離職率は30%が目安とされており、四季報に掲載さている大手企業となると離職率は平均13.2%となっています。
では、大手ゲームメーカーの離職率を見てみましょう。
- 任天堂 2.0%
- ソニー・インタラクティブエンタテイメント NA
- スクウェア・エニックス 27.3%
- バンダイナムコエンタテイメント 15.6%
- セガ 2.0%
- コナミデジタルエンタテイメント 12.0%
※NA=非回答
このように、大手メーカーの中でも離職率にかなり差があります。

開発現場では、1年経てばメンバーが様変わりしていることもありますし、一度辞めた人が戻ってくる“出戻り”が多いのもゲーム会社の特徴です。
こうした要因は、プログラマー、デザイナー、プランナーと言った技術職の仕事であるためです。
能力さえあれば仕事に困らないので、それぞれがキャリアアップを求めて転職することがゲーム業界の離職率に影響しているとも言えます。

高待遇を求めて、家庭用ゲーム機開発からスマホ系ゲーム開発職へ。
最新技術を求めてAR・VR技術系のベンチャー企業へ。などなど。
どうしても『離職率が高い=悪い業界』というイメージが付きものですが、こうした自分の技術を他社でも活かせる業界であることが、高い離職率になっていることも理由のひとつでもあります。
次に、会社を辞める理由について見てみましょう。
ゲーム会社を離職する理由
ネガティブな理由
1. 労働環境が悪い
近年は労働環境が改善されつつあるありますが、法的ギリギリの長時間労働を強いられてるゲーム業界。
フレックス制を採用している会社が多いですが、結局はみなし残業になっているのがほとんど。つまり、出勤・退社が遅い時間になり、残業しなければ給料が減るという意味。
みなし残業とは?
給与の中に一定時間分の残業代を含ませておく制度のこと。ゲーム業界では1日当たり1時間のみなし残業が付いているケースが多い。
他にも、部署・プロジェクトによって労働環境が大きく違うのもゲーム業界の特徴です。
- なぜ自分が配属されているプロジェクトだけこんなに過酷なのか
- 上司の指示が悪くてなかなか仕事が終わらず残業ばかり
- 休日出勤が当たり前になっている
過酷な労働環境によって体調を壊してしまっては元も子もありません。
長時間労働は国内全体の問題でもありますが、とりわけゲーム会社は厳しい業界の部類に入ります。
メンタル面でキャパシティを超えてしまいそうなら、その会社を辞めるべきです。
2. 作りたいゲームが作れない
憧れのゲームが作りたい、別ジャンルのゲームが作りたいなど、ゲーム会社では自分が希望しているゲームが作れるとは限りません。
どのプロジェクトにアサイン(配属)されるか分からないので、自分の思うように好きなゲームが作れるわけではありません。
「次のゲームは君がセクションリーダーだ」と、たとえキャリアアップのチャンスがあったとしても、全く興味のないゲームジャンルである可能性もあります。
こうした理由で会社を辞める人は少ないですが、どうしても◯◯社の◯◯ゲームが作りたい!と強く願うなら転職を狙うしかありません。
3. パワハラ、モラハラがある
ゲーム開発職は、営業職などに比べてノルマという制度がないので、成績に対して厳しく叱責されるというケースは少ないです。
しかし、技術職特有のスキルマウントのような環境は否定できません。
技術力が足りないのは本人のスキルの問題ですが、上長の言い方や態度がパワハラではないかと感じる方もいます。

ゲーム開発職という外から見えない世界では、本来してはならないハラスメント的な発言・行動があることもあります。
これらは簡単に解決する問題ではありません。
どうしても辞めたいが退職を言い出せない、今すぐ辞めたいという方は、退職代行というサービスもあるので、お困りの方は利用してみるのがよいでしょう。
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ポジティブな理由
1. 給料アップ
会社を辞める最も大きな退職理由は給料でしょう。
今の給料に不満があるなら、条件の良い会社に内定を決めて転職します。

給与アップ目的で転職するなら、転職サイトに登録して条件にあった案件のオファーをもらうパターンがほとんど。
→ 転職エージェントから月◯◯万円のA社のオファー来たから転職しようと思ってるんだよね。
→ 給料いいけど労働環境知りたくてさー。A社の知り合いいる?
なんて話は、喫煙所でよく聞く話です。笑
給料を求めて転職する人が多いことから、結局それが会社の離職率を挙げてしまう理由にもなってしまいます。
友人のコネで転職する方もいますが、相手の言い値で給料が決まってしまうので、給与アップ目的ならコネ入社はおすすめしません。
会社HPの中途採用ページから直接応募するのも、給料面ではおすすめできません。経験年数に対しての一般給料がそのまま適用されるだけでしょう。
ゲーム会社は、経験者を引き抜いて即戦力として使いたいという状況が多々あります。
ですので、転職エージェントによる第三者が関わった給与・労働条件交渉があると非常に有利になることを覚えておいて下さい。
転職して給料を上げるなら
- ゲーム業界転職サイトへ登録 → ◎
- コネクションを生かして転職 → ✕
- 会社HP採用ページから応募 → △
2. キャリアアップ
今の自分のポジションを上げたい、もうワンランク上の立場で仕事がしたいという目的で転職する人も多いです。
特に、各セクションのリーダー職に就くことができず、作業員として長く働いている人がキャリアアップ思考を強く感じるのではないでしょうか。
能力はあるのに、上が人材で詰まっているためにキャリアアップできないパターンが多いですね。
ゲーム業界は、他業界に比べて歴史が浅い業界なので、管理職がまだまだ若い世代(30〜40代)で占められているのも特徴です。
こうしたことからキャリアアップのチャンスが少なく、会社をやめて転職しようと思ってしまうのは仕方ありません。
ゲーム会社はいつ辞める?辞めた後は?
ゲーム会社の退職のタイミングは、開発プロジェクトの終了後が多いです。
終わるタイミングに合わせてて有給休暇や代休、プロジェクト休暇(あれば)などをまとめて消化して退職日を調整します。

正社員ならボーナス後に辞める方もいます。(僕もそうでした)
ただし、メンタル・フィジカル共にやられていてプロジェクト終了までは耐えられないなら今すぐ辞めるべきです。
いずれにせよ会社を辞める意思があるなら、転職先の内定を取っておくことが大切です。
まとめ:ゲーム会社は離職率で決めなくてよい
ゲーム開発者のほとんどは、ゲームや映像が好きでやりがいを感じています。
ゲームタイトルが発売されれば、この上ない達成感を感じることもあります。
その一方、好きなことであるとは言え、労働環境や人間関係は入社してみないと分かりません。
想像よりも辛くて会社を辞めてしまった方や、よりよい条件を求めて転職した方を数多く見てきました。
ゲーム開発現場にいるスタッフのほとんどは、会社の離職率など気にしていない人がほとんどです。
入社前に離職率が気になるのは当然ですが、離職率が高いからと言ってチャレンジすることを諦めるのは絶対にもったいない。
労働環境が悪そうと決めつけるのもダメです。
- あなたが本当に作りたいゲームは何か?
- どのようなキャリアを築いて将来何がしたいのか?
など、自分のビジョンを持って会社選びをすることが大切です。
これからゲーム業界で転職をお考えの方に、業界に特化した転職支援サイトをご紹介します。私自身、ゲーム業界で18年のキャリアがあり転職支援サイトを使って3回の転職経験があります。いずれも大手ゲーム会社 →...